絵本を自分で作りたい方へ ~印刷・製本のポイントをやさしく解説!

「こんな物語を描いてみたい」「あのイラストを絵本にできたら」
そんな想いを形にするのが、自分で絵本を作ることです。
子ども向けの読み物としてはもちろん、自分自身の表現の場や記念の贈り物として、最近は、オリジナル絵本をつくる方が増えています。
ただ、完成した原稿を実際に「本」にするには、印刷や製本の基本知識が必要になります。
はじめての場合は少し戸惑うこともあるかもしれません。
そこで今回は、これから絵本の印刷を検討されている方に向けて、印刷前に知っておきたい基本的なポイントをわかりやすく解説します。
もくじ
6. まとめ
印刷する前に決めておきたい「絵本の仕様」

印刷の第一歩は、どんな絵本にしたいかを明確にすることです。
以下の4つのポイントを事前に決めておくことで、仕上がりの満足度が大きく変わります。
1. サイズとページ数
絵本のサイズは、手に持ちやすく扱いやすい A5サイズ(148×210mm) や、視覚的に印象的な正方形(210×210mm) が定番です。
ページ数は、物語の構成に合わせて決めますが、20〜40ページ程度が一般的。
また、ページ数は2の倍数、もしくは4の倍数で構成する必要があります。
ページが多すぎると印刷コストも上がるため、ストーリーは簡潔にまとめることも大切です。
2. 用紙の種類
絵本の印象を左右するのが「紙の質感」です。
以下のような用紙がよく使われます。
| コート紙 | 光沢があり、イラストの色が鮮やかに映えます。 見た目を重視したい方向き。 |
|---|---|
| マットコート紙 | 光沢を抑え、上品で落ち着いた風合い。 文字も読みやすく、ナチュラルな雰囲気に。 |
| 厚さの目安 | 四六判換算で 110~135kg程度が丈夫で扱いやすくおすすめ。 |
3. 製本方法(綴じ方)
製本方法によって、絵本の印象やコストが大きく変わります。
| 無線綴じ | 「くるみ製本」とも呼ばれ、背表紙があるのが特徴。 見た目がしっかりとしていて、本格的な仕上がりに。 ページ数が多い絵本や、きちんと保存しておきたい作品におすすめ。 |
|---|---|
| 中綴じ | ホチキスで綴じる簡易製本。 ページ数が少ない(20ページ程度)絵本向き。 印刷費も抑えられるため、初めての絵本づくりにも人気です。 |
| 上製本 (ハードカバー製本) |
表紙が厚くてしっかりしている、高級感のある製本方法。 書店で販売されている絵本のような仕上がりに。 他の製本に比べて時間とコストがかかる点には注意が必要。 |
目的に合わせて、「費用」「手軽さ」「見た目の本格さ」のバランスで選びましょう。
4. 印刷部数
部数は目的と予算によって大きく変わります。
初めての場合は、まずは試作感覚で1~10部程度から始めるのがおすすめです。
オンデマンド印刷を使えば、1冊からでも手軽に注文可能です。
まずは小ロットで仕上がりを確認し、必要に応じて増刷するスタイルが安心です。
印刷用データを作るときの注意点
絵本の原稿が完成したら、次は印刷用データの準備です。
印刷会社に入稿する際は、いくつかのルールに沿ってデータを作成する必要があります。
1. データ形式について
多くの印刷会社では、PDF形式での入稿(PDF入稿)を推奨しています。
Illustrator・Photoshop・InDesignなどで作成した原稿は、PDF/X-1a または PDF/X-4形式で書き出しましょう。
● 裁ち落とし(塗り足し)の設定は、天地左右「3mm」に設定しましょう。
● 解像度は300~350dpiが標準です。
● カラーモードはCMYKに設定しましょう。RGBのままだと、印刷時に色味が変わるため、仕上がりがイメージと異なることがあります。
印刷会社によっては、推奨設定が異なるため、入稿前にガイドラインを確認しましょう。
2. トンボと塗り足しについて
トンボ(裁ち落とし線)
「トンボ」とは、印刷物を断裁する際の目印になるマークです(トリムマークとも呼ばれます)。
Illustratorなどのデザインソフトで簡単に設定できます。
ただし、トンボが必要かどうかは印刷会社によって異なります。
たとえば、当社「すぐスール.com」では、トンボなしのデータでもご入稿いただけます。
塗り足し(ぬりたし)
「塗り足し」とは、仕上がりサイズよりも上下左右に約3mm広げて絵や背景を配置する部分のことです。
端まで色やデザインがある場合、必ずこの設定が必要です。
印刷時に数ミリのズレが生じることがあるため、塗り足しがないと白い紙色が端に出てしまいます。
なお、塗り足し部分は断裁時にカットされるため、文字や大切な要素は入れないようにしましょう。
3. 文字の読みやすさを意識しよう
① フォントサイズの目安は12〜16pt程度
② ゴシック体のほうが読みやすい(特に子ども向けの場合)
③ 背景に文字が埋もれないよう、色のコントラストも注意が必要
また、校正作業は必ず行い、誤字脱字を防ぐことも重要です。
印刷前の最終チェックで「読みやすいかな?」「伝わるかな?」という視点を持つと、より完成度の高い絵本になります。
印刷方法の選び方|オンデマンド or オフセット?
絵本の印刷には「オンデマンド印刷」と「オフセット印刷」の2種類があります。
それぞれの特徴を簡単に紹介します。
オンデマンド印刷
オンデマンド印刷は、デジタルデータをそのまま印刷機で出力する方式です。
少部数(1〜300部程度)の印刷に向いており、個人の絵本制作や試作段階に特におすすめです。
| 初期コストが抑えられる |
| 版を作る必要がないため、少ない部数でも手軽に印刷できます。 |
| 短納期 |
| データを入稿してから納品までが早く、急ぎの対応にも便利です。 |
| 試作用にも最適 |
| まずは1〜5部ほど印刷して、仕上がりを確認してから本番印刷へ進むという活用もおすすめです。 |
オフセット印刷
オフセット印刷は、版を使って印刷する方式です。
大量部数を印刷するのに適しています。
| 大量印刷に向いている |
| 1冊あたりの単価が下がりコスト効率も◎。 |
| 初期費用は高め |
| 版代がかかるため、少部数には向きません。 |
印刷所の選ぶときのポイント
絵本の印刷で失敗しないためには、自分の目的に合った印刷所を選ぶことが大切です。
特に初めての方は、価格だけでなく「サポート体制」や「仕上がりの品質」も含めて、安心して任せられるかどうかを見極めましょう。
ここでは、印刷所を選ぶ際にチェックしておきたい3つのポイントをご紹介します。
1. 実績と評判があるか
まずは、絵本や同人誌などの実績がある印刷所かどうかを確認しましょう。
インターネットで「絵本 印刷」「自費出版 絵本」などで検索すると、個人向けの印刷サービスが多数見つかります。
口コミやレビューも参考にしながら、自分に合った印刷所を探してみましょう。
2. テンプレートやサポート体制が充実しているか
初心者の方にとっては、入稿用のテンプレートやデータ作成ガイドがあるかどうかも大事なポイントです。
また、「入稿の方法がわからない」「このデータで大丈夫?」といった疑問に、電話やメールで丁寧に対応してくれるサポート体制があると、より安心です。
3. 見積もり・サンプル対応が可能か
印刷所によって価格や納期が異なるため、複数の会社で見積もりを比較するのがおすすめです。
また、可能であれば「サンプル印刷(試し刷り)」を依頼して、紙の質感や色の出方を事前に確認しておくと安心です。
印刷した絵本の活用方法と配布アイデア

せっかく完成したオリジナル絵本。
印刷した後、どんなふうに活用するかもぜひ考えてみてください。
目的に応じた配布方法で、絵本はさらに特別な存在になります。
個人で楽しむ・プレゼントする
完成した絵本は、家族や友人へのプレゼントとしてもとても喜ばれます。
たとえば…
・自分の子どもや孫への誕生日プレゼントに
・結婚や出産の記念に
・両親との思い出を1冊にまとめて贈る
など、思いを込めた贈り物として活用できます。
手作りのラッピングや手書きのメッセージカードを添えると、世界にひとつだけの特別なプレゼントになります。
販売・配布して多くの人に届ける
「せっかくなら、もっと多くの人に読んでもらいたい」
そんなときは、絵本を販売・配布することもできます。
書店やイベントで販売する場合は、ISBNコードを取得して出版物として登録することも可能です。
ネット販売なら、AmazonやBOOTH(自費出版向けマーケット)などを活用すれば、在庫管理も比較的ラクに行えます。 SNSやブログで制作過程や中身を紹介すれば、読者とのつながりも広がりやすくなります。
書店流通や大手EC販売を検討する場合は、仕様・価格・納期の計画をしっかり立てておくのがポイントです。
図書館や学校への寄贈
完成した絵本を地域の図書館や学校に寄贈するという方法もあります。
公共施設によっては、寄贈の受け入れ条件や事前申請が必要な場合があります。
郵送寄贈も可能なケースが多いので、まずは公式サイトや電話で確認してみましょう。
自分の絵本がたくさんの人に読まれる場所に置かれることは、作り手としても大きなよろこびになります。
まとめ
絵本を印刷して「本」として仕上げるには、仕様を決めるところから始まり、データ準備、印刷方法や印刷所の選定など、いくつかのステップを踏む必要があります。
はじめての方は戸惑うこともあるかもしれませんが、少部数から試作してみることで、完成品のイメージがぐっと具体的になります。
そして、自分の描いた物語やイラストが、1冊の本として手元に届いたときの感動は、何ものにも代えがたいものです。
予算や目的に合わせて、無理のないペースで進めながら、ぜひあなたの世界にひとつだけの絵本づくりを楽しんでください。
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